クソしかいねー世

クソしかいねー世に愛を叫ぶ

【201507】小説・映画とかの感想メモ

f:id:yougottayukata:20150731200149j:image

注)感想メモなので、あらすじを記載したり考察はほぼしない。
個人的な読了後の感想をそのままアホみたいに書くだけです。

 

【漫画】

小山宙哉宇宙兄弟』26巻

惰性で読んでる漫画。
これからも惰性で読み続けるなぁ…って感じ。

 

いがらしみきお『かむろば村へ』上下巻

なんとなく表紙買いした漫画。
不思議な魅力があった。味わい深いというか何というか。
実写映画化されてるらしく、監督が松尾スズキらしく、なるほどねーってなった。

 

【小説】

浅井ラボ『TOY JOY POP』

基本的には、ファミレスで駄弁ってるだけの話。
浅井ラボのしょうもない笑いのセンスに溢れている。
浅井ラボにしてはグロくないし鬱にもならんし普通。
展開とか伏線とかは相変わらず上手いなって思った。

 

 

小川一水『ファイナルシーカー レスキューウィングス

小川一水のSFが大好きなんだけど、SFじゃなくても好きだってことが分かった。
図書館戦争に非常に近い匂いを感じた。面白かった。

 

井上真偽『恋と禁忌の述語論理』

第51回メフィスト賞受賞作。
タイトルからピンとくる人間には、数理論理学を扱っていると分かるだろう。
世の中には、登場人物に数学者がいる/数学が主題となっている/推理に数学を使用するミステリ、といった小説が少ないけれど探すとけっこうあったりする。
数学の読み物まで入れると、一般向けの数学読み物はかなりある。
そんな中にあって、この小説にはけっこうな衝撃を覚えた。
これはブルーバックスの「マンガ 量子力学(石川真之介)」を読んだ時と似た衝撃だ。
頭の良い人間が”同人誌的なノリで”分かりやすく解説してくれてる…!っていうアレ。
そして何よりも、一般向けの書籍で専門的な内容が出てる!というアレ。
述語論理まではなんとか分かったけど2階の述語論理が難しくて泣きそうだった記憶とか、
第一不完全性定理でさえ良く理解できなかったのに第二不完全性定理までやった不人気講義とか、
大学院の先輩がやってた様相論理がすごい面白かった記憶とか、そういう学生時代の思い出が蘇った。
と書くと、数学の話題が多いのかと思われるかもしれないが、数学が分からない人間にも楽しめる構成をとっている。
数学の難しい話が連続しない配慮、読み飛ばしても影響がないような配慮が随所にある。
さらに、数学を抜きにしても1冊の推理小説としてきちんと推理小説している。
推理小説としての出来とか、数学が果たしている役割とか、そういう小難しい話は他所で。

 

首藤瓜於『指し手の顔 脳男Ⅱ』上下巻

どんなにつまらなくてもシリーズものは読破する!
どんなにつまらなくても刊行作品の8割は読破する!
そんなモットーに則って、ゴミのような前作を念頭にシリーズ2作品目を読んだ。
前作よりは面白かったが、相変わらずクソだった。
前作で強調しすぎた反省を活かしたのか、2作品目という驕りからか、ハーバード卒の精神科医という設定の記述はなかった。
相変わらず「どうしてなの…」しか言わないハーバード卒の精神科医。
女性蔑視をテーマにしているのではないかと疑うレベル。
前作で登場したキャラたちを活かすこともなければ殺すこともない。
分量が増えたため、前作のような中途半端さはなくなった点だけが評価できる。
しかし、意味不明な箇所は随所にある。
こんなにアホな記述が散見されるのに推理小説を名乗っていいのか、僕は疑問ですね。
例えば、上巻P232のある人物についての聞き込み調査において、「ベッドの端に腰をかけて机を引き寄せ、その上で読書をしていました」という発言がある。
その直後の上巻P234では「彼がここにいたときには部屋に入ったことがなかった」と同一人物が言っている。
部屋に入ったことがないのに、どうして部屋の中で何をしていたのかお前は断言できるんですか?
部屋の扉は常に開けて生活するタイプの性格だったから部屋に入ったことはないけど部屋で何してたかは知ってるんですか?
それとも、実は監視カメラを設置していて監視していたから部屋に入ったことがないのに知っているんですか?
でも、部屋に張ってあるポスターのことは知らなかったんですよね?どういうことなんですか?
物語に何らの影響はないが、こういう意味不明さを地の文ではないとはいえ記述し、その意味不明さに気付かないハーバード卒のアホさは失笑に値する。
例えば、下巻P395の記述。
ネタバレになるため登場人物をAとBに置き換えるが、「AはBを両脇に抱えたまま」という地の文がある。
推理小説の鉄則として、小説の基本として、地の文で嘘をついてはならない(は言い過ぎなら、つかない方がより良い)はず。
それなら、この作品世界としては1人の人間を両脇に抱えることが可能な世界観なのだろう。
「両脇に抱える」という表現が意図することろの解釈を僕が間違っているのかもしれないが、普通に考えたら意味不明だと思う。
そういった意味不明な表現、記述、曖昧さ、決定的に頭の悪い会話など、他にもたくさんある。
これが乱歩賞受賞作ではなくラノベ関連の賞の受賞作なら納得なんだけれど。
しかも解説が最高に気持ち悪い。
世にはびこるクソ解説は大きく分けて2つに分類できる。
1つは、作者と知り合いで「彼と知り合ったのは~」というクソみたいな社交自慢。
1つは、この作品は素晴らしい!この作者は素晴らしい!早く次作を書いてください!的なカルト信者のようなゴミ文章。
この作品には後者の解説がついている。
頭の悪い人間が頭の良いことを知った気になれる、この作品の存在価値はそんな感じ。

 

住野よる『君の膵臓をたべたい』

本屋で発見してタイトル買いした。
メンヘラの心に刺さるタイトルだ。
この小説は、タイトルが最高。以上。
「小説家になろう」からデビューらしいが、なるへそって感じ。
特設ページやら宣伝が凄いことになってるけどもね、
こんなゴミが一般文芸で闘える世の中なんですね…。
ただのラノベでしたよ。少しお洒落な。そして、いたたまれない。
お洒落気取ってる感がプンプン臭うのが我慢できない。
その会話のやりとり、クールだと思って書いたとしか思えない臭さだけど、クールだと思ってんの?って聞きたい。
その会話のやりとり、センスあると思って書いたとしか思えない臭さだけど、センスあると思ってんの?って聞きたい。
50Pあたりで(大オチは無理にしても)展開や落とし所が想像できて、それが間違わないクソ小説。
予測される展開が裏切られないことは特に何とも思わないけど、それに至るまでのセンスのなさがムカツク。
どれだけ装飾ができるか、どれだけ見せ方を工夫できるか、っていうのが大事だと思うんだけど本当にセンスがない。
プロ意識のなさが散見される趣味的なオナニーを見せつけられても、だから「なろう」の奴らはキモイんだよな死ねとしか思えない。

こんなにどうしようもなく痛い、黒歴史としか呼べなさそうな代物を世に商業作品として送り出すなんて、作者は最高なオナニーしてんなー絶頂だろうなーキモイなーって羨ましい。
帯の推薦コメントのキモさも特筆に値する。
「帯で尋常じゃないくらい絶賛されてる名前を聞いたことのない作者の小説は基本的にゴミ」理論の物的証拠をまた1つ発見してしまった悲しさよ。
なんか、一般的には泣ける小説らしいですが、これで泣けるとか言ってる人間はケータイ小説が流行ったときに「Deep Love マジ泣ける!」とかはしゃいでた奴らと同じ”死ぬべき頭の弱き者”ですね。
なんでこんなに最高なタイトルから、設定もわりと良いのに、こんなゴミが生まれたんだろうね…非常にもったいない。
メモ)タイトルがもうちょっとゴミなら2点くらいの作品だけど、タイトルの良さからの落胆ぶりを加味して採点する。

 

米澤穂信『リカーシブル』

切ない・痛い・青春ミステリらしいが、違和感ある。
主人公の芯が強すぎるから違和感あるのかな…。
信頼と安定の米澤穂信って感じの面白さでした。
特別すごくもつまらなくもない、プロの作品。
住野よるで小説に絶望したところで、最高だった。

 

チャールズ・ユウ(円城塔=訳)『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』

最高に面白かった。
読み手の解釈によってSFだったりSFじゃなかったりするんだろうけど、個人的にはSFというカテゴライズで良いと思った。
訳が良すぎて原書を読みたくなるレベル。多分、原書で読んだら良い英語の勉強になるだろうなって感じの文体。
特に、方眼紙や線香に関する記述については射精しかけた。方眼紙については、銀河ヒッチハイク・ガイドにおけるバスタオルについての記述に通じるところがあると感じた。
継時上物語学という学問、全体に散りばめられたワードなど、物理学っぽさ全開。ユーモアのセンスも物理学の人のだなって感じでカッコイイ。
哲学と数学と物理学の共通部分の物理よりって印象なので、哲学と数学と物理学やってた人は楽しく読めそう。
ただ、文章は少し読みづらい。傾向は浅井ラボと非常に近いと思ったけれど、一般には円城塔っぽいらしい。
噛みしめながら読むと最高。噛みしめれない人たちが「難解だ!」とか言ってるんだと思う。いや、僕もすべて理解できたというわけじゃないけれども…。
円城塔=難解!って言っとけば読書人」みたいな雰囲気が嫌いで円城塔作品は読んでなかったんだけど、読んでみようと思う。
とにかく最高だったので、最高としか言えない。もっとちゃんとした書評をググって読んでください。
この小説の最も重要にして雰囲気が分かる部分を抜粋して終わりにしときます。

 

「継時上物語学の基本定理」
SF的な空間の中で、記憶と想定は、それらを共に持ち出すならば、タイムマシンを製造する必要にして十分な要素である

 

 

ケン・リュウ古沢嘉通=訳)『紙の動物園』

ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞の3冠作品を含む短編集。
全篇あんまり好みじゃなかった。外人さんが好きそうな雰囲気だけど、日本人的には今更こんな精神性を披露されたところで…????ってなる気がした。エンタメを捨てて純文学が復興すれば日本人でも世界で闘えるんだろうになーっていう思いを強くしてくれる作品。

 

【その他】

永田守弘『教養としての官能小説案内』

絶対に本屋で自分の手で買いたかった本の1つ。4年ほど探していたが、遂に本屋で出会ったので購入。
タイトル通りの内容の新書である。
まず、「はじめに」を読む。尋常じゃない熱量が溢れてくる。作者がポルノ研究における第一人者であることを理解する。探し求めていた本は、やっぱり最高な部類の本だと確信に変わる。
第1章では、政治や社会情勢や大衆心理の変遷を踏まえた上で、官能小説の歴史が分かりやすく解説される。どういった作家がどういった内容の作品を世に送り出したかが細かく記述されており、しかも膨大な量の引用がある。
官能小説家に、「失神派」「構造派」「痴漢派」「告白体」「子宮感覚派」などがあったことなど知らなかった。
時代の変遷と官能小説の歩みを情熱的に案内される読書体験は、最高の一言である。
第2章では、様々な官能小説のジャンルを細かく見ていく。作者の熱量が半端ない。官能小説の引用も半端ない。
官能小説と呼ばれるもの、団鬼六花と蛇」しか読んだことのない弱輩なので、この本を頼りに手を伸ばしてみようと思う。
とにかく第1章の官能小説の歴史が最高なので、ネットで買って読んだ方が良いと思う。マジで教養が身に付きます。

 

川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』

「教養としての官能小説案内」を手に入れた時に一緒に読もうと思って積ん読してあった本。
僕が知る限りで唯一無二の最高な昭和エロ本史となった。
日本の性は乱れているとか貞操観念がどうとか、そういうこと言う前にこれを読んでみろよ。
僕たちの、この時代の成り立ちを知ってからエロとフェチと愛を語れよ。
この本は、まさに日本に革命が起きたことを教えてくれる。
これを読んでいる奇特な君には、現代へと続く性の変遷を是非とも上記と合わせた2冊で辿ってほしい。

 

【映画】

リアル鬼ごっこ

2008年公開のやつ。深夜にテレビでやってたのを視聴。
良いところを一生懸命探したけれど、ない。以上。

 

 

--------------------------------------------------------------------------
大掃除するときのために個人的な点数を書いとく。
***********************************************************
90~100:最高としか言いようがない。。。
80~  :出会えて良かった!
70~  :なにこれすげー面白いじゃん!
----越えられない個人的なツボ----
60~  :かなり面白い
50~  :わりと面白い
40~  :ちょい面白い
30~  :普通
20~  :特に面白くないし印象がない
10~  :お金を払ったことを多少後悔している
 0~  :ゴミに限りなく近い
***********************************************************

30点 小山宙哉宇宙兄弟』26巻
67点 いがらしみきお『かむろば村へ』上下巻

57点 浅井ラボ『TOY JOY POP』
63点 小川一水『ファイナルシーカー レスキューウィングス
73点 井上真偽『恋と禁忌の述語論理』
 3点 首藤瓜於『指し手の顔 脳男Ⅱ』
 0点 住野よる『君の膵臓をたべたい』
50点 米澤穂信『リカーシブル』
97点 チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』
24点 ケン・リュウ古沢嘉通=訳)『紙の動物園』

90点 永田守弘『教養としての官能小説案内』
90点 川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』

 1点 『リアル鬼ごっこ